成分分析

成分分析

一般なワイナリーの醸造担当者は、日々、醸造中の果醪(ワインマスト)中の成分として、糖度(糖含量)、pH及び総酸、資化性窒素などを分析し、適宜成分の補充を行ったりして、発酵がスムーズに進むようにしています。

当社が重視しているのは、ワインの品質や味にかかわる成分、特にアミノ酸、有機酸およびポリフェノールです。これらの成分は、「健康に良いワインとはどのようなワインか」を表す指標となり、原料(品種)条件や醸造条件などによっても変わってきます。アミノ酸の分析では、大きくポストカラム法とプレカラム法がありますが、いずれも高速液体クロマトグラフィー(HPLC)をベースとしています。有機酸はガスクロマトグラフィー法かHPLC方を用います。

総ポリフェノールの分析ではフォーリン-チオカルト方が一般に用いられます。また、ポリフェノールの分子種はHPLCと質量分析装置との連携によって分析されます。さらにポリフェノールのもたらす抗酸化能については、酸素ラジカル吸収能力測定法やより簡便なDPPHラジカル捕捉法により分析します。

アミノ酸 佐藤錦ワイン
(μg/ml)
ナポレオンワイン
(μg/ml)
紅さやかワイン
(μg/ml)
P-ser 27.7 27.8 63.4
Asp 45.3 26.8 25.1
Thr 19.9 15.8 19.6
Ser 30.0 25.0 29.6
Asn 172.1 182.6 770.3
Glu 120.0 108.8 150.0
Gly 15.9 13.1 18.5
Ala 81.1 66.7 97.6
Val 4.3 4.0 2.3
Met 0.4 0.2 0.5
lle 0.4 0.2 0.5
Leu 5.1 4.2 10.0
Tyr 7.2 5.9 3.9
Phe 5.0 3.6 1.7
b-Ala 1.0 0.6 1.6
g-ABA 35.7 6.4 57.9
Orn 1.2 1.7 1.2
Lys 2.1 1.3 1.7
His 1.4 0.7 0.5
Arg 1.3 1.0 1.0
Pro 19.1 19.4 25.2
NDC 74.2 70.3 95.4
688.5 600.7 1388.1

チェリーワインの遊離アミノ酸

チェリーワインの遊離アミノ酸は、他のワインと異なりアスパラギンとグルタミン酸が多く、各々100ppm以上含まれていました。ブドウのアミノ酸と比較して、アスパラギンが多いことが特徴となっています。また、血圧降下作用のあるGABAやニコチアナミンも多く、その機能性が注目されます。特に果肉の赤い紅さやかは遊離アミノ酸含量が多く佐藤錦やナポレオンの2倍の量が含まれていました。

チェリーワインの有機酸

チェリーワインの有機酸は、醸造条件によって大きく変わってきます。
サクランボには元来リンゴ酸が多いですが、果実の葉面や軸の部分についている天然の乳酸菌が働いて、リンゴ酸が乳酸に変換されます。

その程度はサクランボ園の条件や品種によって異なってきます。

2年間の経験から、リンゴ酸から乳酸へのマロラクティック発酵(MLF)による変換は醸造の後期には間違いなく生じるといえます。

発酵が完全に終わっていない条件では、リンゴ酸が少し残り、酸味があってすっきりした味わい深いワインにすることも可能です。
また「紅さやか」のワインにはコハク酸が多いという特徴があります。

チェリーワインのポリフェノール

チェリーワインの主なポリフェノールはパラクマロイルキナ酸とクロロゲン酸で、おおよそ、ワイン1ml当たり0.8~1㎎のポリフェノールが含まれていました。

この量は白ワインやロゼより多く、赤ワインに含まれているポリフェノールのおおよそ半分に相当します。

3品種の内、赤紫色の濃い「紅さやか」は1ml当たり約1.4㎎のポリフェノールを含み、ポリフェノールの成分として、パラクマロイルキナ酸やクロロゲン酸の他に、シアニジン-3-ルチノイドというアントシアニンを含んでいました。
この成分が「紅さやか」ワインの赤紫色をもたらしています。

チェリーワインの抗酸化能

体内で生成する有害な活性酸を消去する力を測定した結果、ポリフェノールの量に正比例し、チェリーワインでは赤ワインの70~75%であることが確かめられました。

これはおそらくサクランボ破砕したもの全て赤ワインを仕込むのと同様に醸し発酵を行ったために高くなったものと考えられます。

「紅さやか」のワインにはアントシアニンを含むため、抗酸化能は佐藤錦やナポレオンより高いことが考えられ、その機能性が期待できます。

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